子どもたちを放射能から守る・八尾の会

日本のすべての子どもたちを守るため、政府の放射能拡散政策を跳ね返そう!!

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3/20 矢ケ崎克馬教授の講演会

琉球大学の名誉教授で、原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言を行ってきた、矢ヶ崎克馬先生(理学博士)の講演会に参加してきました。

矢ヶ崎先生の著書で「ひろがる内部被曝」は購入して読んでいました。とても分かりやすく、多くの方に読んでもらいたい本です。
今日の会場では、矢ヶ崎先生とフリーライターの守田敏也氏の対談が本(内部被曝)になっているものが売られており、買って読みましたが、これもとても分かりやすく、お勧めの本です。

そのフリーライター守田氏が、ブログ「明日に向けて」の中で、矢ヶ崎教授の講演内容を文字起こしされていましたので、下に転載させて頂きました。


矢ケ崎克馬講演録

子どもたちを放射能から守るために-知られなかった内部被曝の実相-
2011年11月19日 

【核戦略の下に隠された内部被曝】

今日は内部被曝について概略的なお話をします。

結論めいたことから先にお話します。内部被曝は、アメリカによって原爆が落とされた直後から、原爆は残虐兵器ではないというために隠されてしまいました。もう一つ、原爆推進のためにも隠されました。

内部被曝が隠されたと私は表現していますが、科学的に探求して辿りつけなかったということはまったくありません。政治的に、そうしたほうが核戦略にとって都合がよいから隠されてしまったのですね。

放射線科学を行うものとして、科学という立場でお話しますと、内部被曝という大きな分野に対して、外部被曝という分野がありますが、この面しか語られず、内部被曝が隠されています。これでなんで科学が成り立つことができようかと私は思います。国をサポートする方たちは、これが真実だと語っていますけれども。

原爆を落としたことは誰でも知っていますけれども、それに伴って、内部被曝を隠してしまったこと、巨大な犠牲者を隠してしまったのだということが、あまり知られていない事実です。そのことを私はもう一つの核戦争と表現しています。

これを客観的、歴史的に見ていきますと、一つは原爆症認定集団訴訟がなぜ勝訴したか。国が内部被曝を隠していて犠牲者が埋もれてしまっている。これをちゃんと勘定しなければいけないというのが、裁判上の判決であって、事実をきちんと認めなさいというのが勝訴の原因でした。

第二番目は、隠したのは、アメリカの核戦略のせいであって、科学力不足ではまったくないということです。もう一つに、内部被曝が隠され続けている、このことが日本社会の大きな足かせになっています。隠され続けたことをそのまま維持するということは、世界が、IAEAやICRP(国際放射線防護委員会)、WHOなど権威主義のもろもろの機関が、ICRPの、内部被曝を隠したままの体制を維持しようとする、そうした政治体制があるわけです。

これをどのように見るのかですが、こういう体制を自覚的に維持しようとしている人々がいることは間違いありません。もう一つは大学の基礎教育にICRPは入り込んでいますから、その矛盾に気がつかずに来てしまう人もいる。その場合、良心的な思考をして、一生懸命に人々のために働こうという意志があっても、結局ICRPを支えてしまう。そうしたことが身の回りでいっぱい起こっています。それが今の科学をめぐる悲劇とでもいっていい問題であると思います。


【内部被曝はどう隠されてきたのか】

今までどのようなことをやってきたかというと、たとえば100ミリシーベルト以下の被曝についてはデータはありませんと言い続けているのですが、100ミリシーベルト以下でも、内部被曝による晩発性障害が起こっているのに、この低線量被曝を公式記録に残さないことを、あらゆる点でやってきました。原爆被爆者の記述で。それから常時原発から流される放射性物質で大変な人が被害にあっています。これもすべて隠されてきました。

チェルノブイリの被害隠しということは、たとえばIAEAという国際組織が、重松逸造さんという人、「内部被曝などない、放射能のほこりの影響などない」という科学的粉飾を陣頭指揮された方に、国際調査団の委員長を任せて、「放射線の病気は皆無である、これからもないであろう、最も悪いのは精神的ストレスである」というような報告書を出させました。

また実際の被害の切り捨て手段としては、いろいろな国際的な機関が、病気の人たちを見つけても、放射線の影響は認められないということで、一切、切り捨ててきた、こういうことに現れています。

放射線影響研究所という機関があります。アメリカのABCC、原爆傷害調査委員会を受け継いで、日米で運営しているものですが、そこが福島の事故の後に、長期にわたって健康被害をすると言っていますが、ここは、放射線の被害者は皆無であるという結論を出しかねないところです。

私が懸念しているのは、例えば福島市でホールボディカウンターをたくさん買って、市民の健康調査をすると言っていますが、これの検出限度値が、非常に高く設定されていることです。この検出限度値の10分の1ぐらいの限度で測れば、ほとんど全員が被曝していることが分かるのに、10倍程度の値で検出限界としているものですから調べる人ごとに、全部ND=不検出という判定がでますね。このように測定をめぐって現実が無視される体制が作られる可能性が非常に大きくあります。私たちは市民の目線で、被害の実態を確認していく必要があります。

もう一つは、国の姿勢が原発会社の都合を優先して、徹底した棄民の政策を行っていることです。非常時体制ということで、すぐに被曝限度量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げてしまいました。安定ヨウ素剤は、いっぱい蓄えていたにもかかわらず、とうとう国の施策としては投与しませんでした。

またいわゆる規制についても、全部、市民の健康を考える基準で国はやっていない。国と原発会社の都合を最優先し、責任が一番小さくなる数値や形を出していると思います。

今は結論を先に言ってしまったので、みなさん、唐突に思われたかもしれないと思います。これからその内容をお話したいと思います。


【内部被曝研究会の立ち上げに向けて】

今、内部被曝を本当の科学として確立していこうという有志のものが若干おります。今までの放射線学を、被害者切り捨ての道具から、科学として確立しようと努力しています。大事なことは、一部の科学者がこういう運動をしても、市民の方々から本当に科学としてきちんと見ろという声がないと、私たちの健康を守ることすらできないというのが日本の現状ですので、ぜひ一緒に、市民の方たちに、主権在民ということで、ちゃんと知識を持って、訴えを行っていただきたいし、私たちとともにやっていただきたいと思っています。

内容は、今までの歴史から振り返って、被曝を見る目を政治支配から確立する、科学らしい科学、被曝のまっとうな科学を確立することです。その場合、命を守るということを学問の基礎にしたい。これが私たちが、早いうちに市民のみなさんと確立していこうとしている内部被曝の研究会の構想です。市民と科学者による内部被曝研究会で、来年の1月ぐらいに旗揚げができたらと思っています。どうぞ一緒に力を合わせて頂きたいと思います。お願いします。


【広がる深刻な健康被害】

具体的な被曝の話に入る前に、あちこちで明らかにされている現状をご紹介します。町田市の現状をスライドに書いていますが、3月11日以前に、鼻血など出したことのない6歳のお子さんが、3月11日以降、水道の蛇口を全開したように大量に鼻血を出す、これを何回も繰り返すということが報告されています。下痢もよくしているそうです。

さらに、「町田市の子どもと未来をつなぐ会」の調査では、鼻血、口内炎、抜け毛、充血、生理異常、気管支炎、下痢、咳、皮膚斑点、微熱、食欲不振などの症状のある子どもの話が、3週間あまりの調査の間に、104件、寄せられたそうです。

東京の子どもさんで、親が気になって検査を希望した方のうち、70~80%のお子さんからセシウムが検出され、内部被曝が確認されたことが報告されています。
福島ではホールボディカウンターで、ほとんど被曝はないという結果が出ていますが、こちらの方は尿の検査で非常に丁寧に行っています。

そういうきちっとした値が検出できる丁寧な検査を行えば、検査した人の80%ぐらいまで内部被曝が見つかるのが東京の状況です。ですから私たちが被曝を考えるときに、東日本全域で考えて、内部被曝をプロテクトすることが考える必要があります。とくに食事を通じての被曝をしないように、態勢をとっていくことが
とても大事になっています。

【被曝の物理的メカニズム】

より具体的な話に入ります。被曝といいますが、より具体的には放射線が飛んできて体に突き刺さります。あるいは体の内部から発射されて、内部に突き刺さります。この放射線というのは、原子の一番ど真ん中から出てくるのですが、放射線を出す能力という意味で、放射能という言葉が使われています。放射能からは放射線が出てくるわけです。

それで放射線の一番の大きな作用についてですが、私はまず肉体的な変化、医学的な変化を見る前に、物理的にどういう変化があるかということを捉えることが大事だと思って、その目線でみなさんにお話しています。その場合、重要なのは放射線が電離という作用を持っていることです。電離とは、原子の中の小さい電子という粒々を、吹き飛ばすことです。それで結果的には分子を切ってしまいます。原子だ、分子だ、電子だと、大変難しい言葉が出てきて申し訳ないのですが、スライドをみながら説明します。

原子がつながってできた分子の絵が書いてあります。私たちの体の中で生理的な機能を果たすものは、すべて分子から構成されています。この中の原子がどうしてお互いに結びつくことができるのかというと、電子が軌道を重ねて、ペアを作ることで、非常に強い結合力が生じます。そういう状態が、原子と原子がつながる原理です。

ここに放射線がやってくると、せっかくペアになってつながっている電子が、飛ばされてしまうわけです。とくに電子として、一番外側の軌道を回っているものが吹き飛ばされてしまうものですから、電離、電子が原子から離されてしまうという言葉を使っています。ここで分子が切断されてしまいます。これが放射線が物質に対して果たす一番の影響です。


【分子切断の2相の危険性】

この分子が切られることで、どんな被害が出るかですが、一つはたくさんの分子が切られてしまうわけですから、生命機能が破壊されてしまう危険がまず出てきます。それに対して二番目は、破壊されることを免れて、生き延びることができた細胞の中で、実は大変な危険が起こってしまう可能性があります。このように考えているのは、今のところ、私一人なのですが、物理的に被害を見ていく場合に、一番、しっかりとした見方なのではないかと自画自賛しています。

分子が切られるものだから、生理機能がうまくいかずに機能が停止してしまう。それがまず最初の危険で、急性症状などが現れてきます。脱毛や紫斑、下痢、出血などが、実際の被爆者のみなさんの記憶からたくさん記録されています。これは実際に分子切断からダイレクトに機能破壊をした効果です。もっと分子切断が多くなると亡くなってしまいます。

二番目には、免疫力の低下、体調不全が出てきます。この免疫力の低下はあまり重要視されていません。しかし大変、大きな危険を孕んでいます。それをチェルノブイリのときにアメリカにどんな現象があったかということでご説明します。


【チェルノブイリ事故後に、アメリカで起こったこと】

グラフをお見せしますが、チェルノブイリは4月26日に爆発が起こったのですが、アメリカには約2週間してチェルノブイリの放射能の埃が届いています。新鮮なミルクの中に入ったヨウ素131が調べられていますが、実際にはもっといろいろな放射能が降っています。

その5月にどのようなことが起こったのか。エイズをはじめさまざまな感染症の人がどれぐらい当年と前後の年の5月に亡くなったのかを比較したグラフがあります。エイズ関係だと事故の前の1984年5月と1985年5月を比較すると死亡者はマイナス15%ぐらいになっていた。ところが1985年5月と放射性物質が降った1986年5月を比較すると、なんと100%近く増えている。2倍の人が命を落としているのです。

全感染症の平均をみてみても、その前の年が前年比プラス10%以下だったのに、1986年では前年にプラス30%ぐらいになっています。ストレスを持っていて、かろうじて命を保っている人に放射性物質が浴びせられると、たちまち命を失ってしまいます。


【年寄りには放射線の影響は少ないという思い込みは間違っている】

このグラフを見ていると、一部で「放射性物質は年の若い赤ちゃんほど敏感であって、年を取ると感受性がにぶくなるから、年を取った人は放射能の埃をたくさん含んだ食べ物を食べてもいいよ」という風潮がありますが、それが間違いであることが分かります。全ての比較される人が、理想的に健康で、ストレスがない。免疫力もいっぱい持っている。そういう人たちの状況で比較しますと、確かに細胞分裂を一番している赤ちゃんほど、放射能の影響をたくさん受けるわけです。

ところがストレスや病気などのファクターは、年を取った人ほどいっぱい持っています。ですから年を取ると、免疫力の低下に関して凄く影響を受けるファクターが生じるのです。赤ちゃんに被曝をさせまいとするのは大切ですが、市民のみなさんには、全員が被曝を避けるということをしていただかないといけないと思います。


【DNAの異常再結合】

先ほどのグラフに戻って、第二番目のご説明をしますが、細胞が生き延びる時に、つまり分子切断がDNAの切断として行われたときに、生物の生きている作用として再びつなごうとする、再結合をしようとする作用が働きます。そのときにちゃんと元通りに戻らなくて、異常再結合してしまう場合が起こる。この影響が、晩発性としてがんになったり、遺伝的影響が出たりする放射能の被害に直結しています。

次の絵は、DNAが放射線を浴びて切断されることをモデル化したものです。γ線がやってきたときには、DNAはところどころまばらに分子切断される。そうすると周りの組織までやられていないので、元のように正常に再結合する確率が高くなります。これが外部被曝で主になるγ線で被曝したときのことを絵に書いたものです。

これに対してα線やβ線の被曝の場合、外部被曝の場合はあまり問題になりませんが、内部被曝の場合、とくにα線の場合は、あたる分子の全てを切ってしまう。そうすると再結合をしようとしたときに、結びつきが可能になるものが、周囲にたくさんあるものですから、異常再結合してしまいやすい。異常に結びついてしまい、DNAで言えば変成されてしまう、あるいは組み替えられてしまうという表現がありますけれども、こうした細胞が生き延びてしまうと、体の中で、何十回も細胞分裂が繰り返されてコピーされるなかでがんになってしまいます。がんになるにはこのように何十回もの遺伝子の変成が必要になり、時間がかかって出てきます。

被害をごまかそうとする側にとっては、都合のいい出方になります。被害者にとっては因果関係が特定しかねる出方になってしまいます。これが晩発性と呼ばれている被害の現れ方です。こういう遺伝子の変成が、精子や卵子の中で起きると、子孫に対する影響も出ると言われています。

具体的にではどのように遺伝子が変成されていくか。いっぱいいろいろな経路やメカニズムがあります。今日はこの点は具体的にお話せずに進ませていただきます。
医学的には、どう進んでいくか、周辺にどのような影響があるか、重要になってきますが、今日は割愛させていただきます。

【内部被曝の脅威】

私も随分、内部被曝と外部被曝について発言させていただいていますが、次に内部被曝の具体例を示します。一つは肺の中に吸い込んでしまうこと、一つは水と食べ物の中に含まれている放射性物質を食べ物と一緒に体の中に入れてしまうというメカニズムです。体の中に入った放射性物質から出てきた放射線で体の中が被曝してしまうので、内部被曝と呼ばれています。

この埃が実は非常に細かいもので、一番大きいものが、1000分の1ミリメートル以下、単位をマイクロメートルといいますが、1マイクロメートル以下の放射能の埃であると言われています。私も3月25日から福島に入りましたが、まったく放射能の埃は見えませんでした。周りの放射線の量は計測してみると、だいたい10マイクロシーベルト毎時と凄い量があるのですが、まるっきり見えません。

しかしこの見えない埃の中に、1000分の1ミリメートルの直径なら、だいたい1兆個ほどの原子が含まれています。体の中に1兆個ほどの原子が入ってきますけれども、この中からバンバンと放射線が出るわけですね。そういうわけで内部被曝の場合は、外部被曝の場合よりも、浴びる放射線量が随分、多くなってしまいます。

外部被曝で放射能を帯びた物質の埃は、原子の種類によって3種類の放射線を出すわけですけれども、その中でγ線だけは随分遠くまで飛んでいきます。空気中で70mも飛んでいく測定結果が紹介されていますが、これはなぜかというと、物質と、つまり例えば人間の体との相互作用が非常に少なくて、ところどころしか分子切断をしない。そのためにところどころであたっても、エネルギーを残したまま、体から突き抜けてしまうのです。分子を1回切断するごとにエネルギーを失っていくのですが、失う機会が少ないので、随分、遠くまで飛んでいってしまいます。それが遠くまでいく物理的な理由なのです。

それに対してα線の場合は、約45ミリ程度、β線の方は約1mしか飛びません。外部被曝の場合だったら、体が埃から1m以上離れていれば、γ線しか届かないわけです。
しかし具体的にはこの1mをβ線が飛ぶ中で、分子の切断は2万回から3万回行われます。α線の場合には、体の中では100分の4ミリメートルしか進むことができませんけれどもその中で10万個の分子切断が行われてしまいます。

そういうわけで、α線やβ線が遠くまで飛ばないというのは、ギシギシと分子の切断を行うからなのです。それで埃が体の外にあるときは、ほとんどγ線だけを考慮すればいいのですが、埃が体の中に入ってしまうと、出てくるすべての放射線が、体の中で分子切断をするという被曝を与えてしまうわけです。そういう意味で、内部被曝の被曝の仕方の方が、随分激しいものがあります。

外部被曝しか見ていない人は、内部被曝の見方が非常に中途半端で、「内部被曝は外部被曝の3%程度だ」などという人もいますが、とんでもないことですね。内部被曝は、外部被曝より凄く深刻です。内部被曝ではα線やβ線が関与して、非常に高密度な分子切断が行われます。それが体の中に放置されることで、いろいろな効果が重なって出てきます。


【内部被曝の実相・・・放射平衡による放射線の重なり】

例えば食べ物と一緒に放射性の埃が入った。それが直径0.1マイクロメートルだとしましょう。10000分の1ミリです。そこにはだいたい10億個の原子が入っています。
β崩壊、β線を出すセシウムやヨウ素を念頭におきますと、β線は体の中では1㎝しか飛びません。それでセシウムがこの埃を形成しているとすると、1時間にだいたい2600本の放射線が出ます。セシウムの半減期は30年と言われています。

それに対してヨウ素は8日間の半減期ですから、単位あたりの放射線量が凄く多くて、1秒間に1000本もの放射線を出します。それで内部被曝が起こります。さらに崩壊系列というものがあります。外部被曝しか問題にしない方は、セシウムの被曝はγ線だなどと言いますが、物理的には、セシウムはβ線しか出さないのですが、β線を出すとバリウムという物質に変わって、これがγ線を出します。β線を出すのとバリウムになってγ線を出すことが同期してしまう。これを放射平衡というのですが、β線と一緒に同じ数のγ線が出てくる。だからセシウム137の放射線はγ線だなどと言っていますが、これははしょった言い方で、内部被曝の場合にはβ線を勘定に入れないと、被曝量をまるっきりとらえられません。

そういったことはが他にもいっぱいあるのですが、この埃が食べ物と一緒に小腸の管を移動していくとなると、だいたい1㎝の球を描いて、その中にいっぱいに放射線がでてきます。この腸管の中にできる食べ物と埃の球の直径は、小腸の腸管のサイズよりも少し大きい状態が具体的なものですから、小腸の管で分子切断が集中してしまいます。それでわずかな量で下痢が起こってしまいます。

これと同じだけの症状を外部被曝で出すならば、非常に大量のγ線を外から放射してやらなければいけません。こういう意味でヨーロッパ放射線リスク委員会など、内部被曝をまじめに考えている科学者集団は、内部被曝は外部被曝の700倍の実行線量があると考えています。700倍という数字そのものはともかくとして、非常に大きな被曝効果があるのが内部被曝です。

ちなみにヨウ素を1000万分の1ミリグラム、もう埃とも感じない量なのですが、たったこれだけを、1週間からだの中に保持していると、1シーベルトという巨大な被曝量になってしまいます。これが内部被曝で体内に放置された放射性物質からの被曝量ですね。

【1ミリシーベルトの脅威】

時間がそろそろ迫っていて、あまり具体的な話ができませんが、ここでICRPが決めている、平常自体の、市民の許容地である1ミリシーベルトについてみていきたいのですが、国が20ミリシーベルトまで許容するなどといったので、1ミリシーベルトだとうんと少ないように思えますが、1ミリシーベルトという量は、毎秒1万本の放射線が体に突き刺さる。これが1年間ずっと続いて、やっと1ミリシーベルトになる。

やっとというのは実に恐ろしい被曝量が、1ミリシーベルトだということです。外部被曝しか語らない人たちは、内部被曝の恐ろしさを知らないというか、切り捨ててばかりきたものですから、それを国民をごまかす上での数字にしてしまっています。これが非常に深刻な問題です。

それからよくタバコによるがんと、放射線によるがんを単純比較することなどが行われていますが、これは基本的に間違いです。さきほどアメリカの例で出したようにストレスがある人が放射線を浴びると、完璧に寿命が縮められてしまう。それが実態で、放射能の害というのは、相乗効果を持ってあらわれてくるので、単純比較をして、どちらが軽いかという問題ではけしてありません。

もう一つ、今、説明したように、放射能の埃には相当たくさんの原子が含まれています。自然界にある放射性物質の場合は、だいたい放射性原子が1種類だけ孤立してあって、それが放射線を出しても、他のものと一緒にたくさん出していくということはないのです。それで単純に線量だけ測って、たいしたことはないという見方がされていますが、やはりそうした見方はすべきではないと思います。


【枕崎台風と内部被曝隠し】

こうした内部被曝が隠された理由は、先ほどもお話しましたが、核兵器は残虐兵器ではないという虚像を作るためです。さらに1950年代から、核の平和利用ということを理由にして、ウランの濃縮工場を経常的に運転させることが試みられましたが、そのために原発から常時漏れる放射能の埃の危険性を隠すことが大きな戦略的な目的でした。

どうやって放射能の埃はなかったという作り話を作ったのかというと、原爆を受けてからの広島の放射線量を現したグラフがあります。それを見るとちょうど6週間目に枕崎台風が来ています。この台風は広島のデルタ地帯の一番上で堤防を決壊させて、床上1メートルの濁流が被爆地を洗い流しました。大田川の橋が20本も流されています。そのあとアメリカが大挙して科学者に測定をさせました。それでかろうじて土壌の中に残っていたものを、はじめからこれしかなかったことにしたのが、最初の内部被曝のごまかしのための科学的操作の第一歩でした。


【ICRPの内部被曝隠しのメカニズム】

さらにICRP(国際放射線防護委員会)のメカニズムをお話して、私のお話を一段落したいと思いますが、ICRPの基準というのは、実は大きくは二つの大欠陥、欠陥というよりごまかし手段を持っています。一つは内部被曝が見えないようにしていることです。これは1990年のICRP勧告に出てくる「吸収線量の定義」に現れています。要するに実際の被曝をみるためには、それぞれの臓器について細かく見ていくことが必要なのですけれども、ICRPは一つの組織の臓器内の平均線量をとっています。

これは、被曝による分子切断がどんなに密度が高く起こっていようとも、全部、臓器という大きな容器で平均化させてしまうため、被曝の実態が分からなくされているのですね。この定義で、具体性が単純化、平均化されてしまっている。これが今、全世界でまかり通っている基準になってしまっているのです。

二つ目は原子力発電との関係ですけれども、やはり同じ勧告の第4章に、「経済的・社会的要因を考慮して合理的に達成できる限り、放射能を防護する」というくだりがあります。これは具体的に言うと、原子力発電の都合を優先して、あまり厳しくすると商売がやっていけなくなる。だからあまり厳しくしないで、商売がやれる範囲でできるだけ「厳しく」していくという意味です。それが先ほど述べた年間1ミリシーベルトという巨大な被曝量の容認になっているわけです。


【汚染ゼロの食べ物の要求と食料大増産こそが安全のかなめ】

現実の問題で、今、われわれの周囲で何が起こっているかというと、例えば福島などの汚染の激しいところから、どこに移り住んだらいいだろうかという発想が必ず出てきます。ところが今、放射能の埃という、空中に舞ってい
るものは、当初に比べればけして多くはないです。しかし食べ物を通じて、日本中が内部汚染されてしまっているという状況です。

それで例えば主食のおコメに、1キログラムあたり500ベクレルなどという巨大な値が許容されてしまっている。これは健康を守る値ではまるっきりありません。原発会社の責任をいかに軽くするかの数字です。今、われわれの社会として、汚染ゼロの食べ物をきちっと供給しなさいということを、東電や政府にきちっと言うということが、国民的な被曝を免れる一番の基本になります。

これをある程度までいいということを、消費者や生産者がはじめから言ってしまうと、では500ベクレルではどうかという数字遊びになってしまいます。
汚染ゼロの食品をきちんと調達する。生産者の補償を、消費者も一緒になって、同じ被害者ですから、政府に要請する。

もう一つ大事なのは、汚染は今年で終わるわけではありません。われわれの国には休耕地がたくさんあります。それを利用して食料の大増産をしていかないと、国民的な被曝を脱することはできません。


【避難と移住を進め、可能なところの除染を】

それでもう一つ判断の基準で大事なのは、汚染の程度が、どの程度であるのかという判断基準の定義がまるっきりなされていません。具体的には年間1ミリシーベルトを超える土地が凄いスペースを占めているにもかかわらず、今は除染すれば人が住めるかのようなキャンペーンが大々的に行われています。

やはり落ち着いて、今の汚染が、除染をすれば住める程度か、それを行っても安全基準に達しない、移住をしなければいけないところなのかということを、あらためて判断しなければならない。それで除染などに取り組んでいかなければならないと思います。

郡山市で、子どもたちの疎開を求める裁判が行われていますけれども、その中身そのものも、除染することで子どもたちの命を守ることができないということを出発点としています。

もちろん、除染ということも大事なことなのですけれども、やはり100年の規模を見込んで、長期的に判断する。あるいはとにかく今どうするかという二段構えで考えなければいけないと思います。その意味で、汚染の激しいところは、除染をしたら人を呼び寄せて、そこに住んでもいいという状況ではないことをしっかり念頭において、われわれが土地の上で健康に生きていけるかということと、食べ物を、きちっと汚染がないものを確保していくという体制を取らないと、国民みんなが被曝してしまいます。


【先々の脱原発ではなく、放射線防護の促進を!】

今、政府だけでなく、政党レベルでも、今の今、ここにいる国民の被曝を回避するという政策がなかなか出てきてない状況です。これはやはり市民の力で変えなければいけないことです。命を守るためには、将来、原子力発電をやめたらいいよという、そういう問題ではありませんので、きちっと要求していくことが貴重になっていると思います。ひとまずこれで私の話を終えます。

以上




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